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〜アーリア村〜 「クロードさん、あれが私の住んでるアーリアの村です。」 レナが楽しそうに歩きながら指差す。 橋の向こうに、穏やかな町並みが広がる。 そこではある人は明るく楽しそうに会話をし、 ある人は道を行き交い、 またある人は動物たちと戯れていた。 人の数はそれほど多くないものの、みな生き生きとしていた。 ―空気がおいしい・・・ 作り物じゃない、本物の緑、自然だ・・・ 地球じゃあめったに見られないな・・・こんなのどかな風景は・・・ 「どうしたんですか?クロードさん。」 不意にレナに話し掛けられ、我に返る。 「あ、いや・・・べつに・・・ で・・・でもいいのかい?いきなり僕みたいなよそ者がお邪魔しちゃって・・・」 もう村への橋を渡ろうとしているレナを止めながらいう。 でも全然気にしていないようだ。 「全然かまいませんよ!それに助けていただいたお礼もしたいですし・・・」 振り返って明るくレナが答える。 ・・・ま、いいか。 あまり考えずについていこう。 「ところで、クロードさんはどこから旅をしているんですか?」 レナが歩きながら尋ねる。 ・・・どうしよう、なんて答えれば・・・ 「地球、って所なんだけど・・・」 「チキュウ?」 ・・・やっぱり知らないよな・・・ 「そこって、エル大陸よりもさらにむこうなんですか?」 「うん・・・たぶん、ずっと・・・」 「そうなんですか・・・大変なんですね。」 まだしっかり理解していないようだった。 まあ仕方ないだろう・・・ もっと詳しく説明しても理解できないだろうな・・・ 村に入ると、とたんにレナの周りに人が集まってきた。 「やあレナちゃん!おはよう、今日もいい天気だね。」 「レナちゃん、今日も神護の森に行ってたのかい?」 「おや!レナちゃんの彼氏かい?やけるねぇ〜!」 どうやらレナは村でも人気者のようだ。 まあ明るくてやさしいその性格からすればさほど不思議でもない。 「も〜っやめてくださいよっ!!さ、行きましょ、クロードさん。 私の家すぐそこですから。」 照れながら否定し、僕をうながすレナ。 「照れちゃってかわいいな、レナちゃんは〜」 「はははは〜、純情娘〜!!」 そんな様子に、村人たちは笑い合っていた。 僕はこんな明るい村の雰囲気に、少しの幸せを感じていた。 「お母さんただいま〜!!」 レナがドアを開けながら元気よく言う。 奥から女の人がぱたぱたとスリッパをならしながら来る。 ふわふわとした髪を後ろでポニーテールのように留めている。 大きめの花をエプロンを着けた胸に抱えていた。 「あら!お帰りなさい、早かったのね。―!!その方は?」 僕に気づいて女の人が言う。 僕のかわりにレナが紹介してくれた。 「クロードさん、私のお母さんのウェスタです。 ・・・こちらはクロードさんよ、お母さん。あのね・・神護の森でモンスターに襲われて・・・」 と、レナがそこまで言いかけて・・・ 「モンスター!!?」 ―くらくら・・・ 「きゃーっ、お母さんっ!!」 ウェスタさんが叫び、倒れそうになる。 かなり心配性のようだ・・・ 「まあ、あなたがレナを助けてくださったの!! じゃあすぐ支度するわ!ちょっと待ってて!!」 そう言い、またパタパタと台所へ戻っていく。 ・・・支度? 「あ・・・もう、お母さんたら・・・ ・・・まだ時間かかりそうですし、村の中を案内しましょうか?」 とりあえず外に出て、レナが振り返って言う。 どうしようか? 1.案内してもらう 2.近くで支度が終わるのを待っている どっちへいこうか? 1.北の方角へ 2.東の方角へ 3.南の方角へ 4.西の方角へ レナの家を出て、北の方角へ向かってみることにした。 噴水のさらさらと流れる音を聞きながら、レナと並んで歩く。 と、突き当りにお店があった。 三角の庇のかかった入り口の横に、大きな樽が二つ並んでおかれている。 ドアの脇にはかわいらしい看板がかかっていた。 「ここは町で一つの雑貨屋さんです。 こう見えても私よくこの雑貨屋で店番任されているんですよ。」 得意げにレナが言う。 「せっかくだから入りましょうか。」 レナの誘いで店内に入る。 店内はいい香りでいっぱいだった。 「なんだかいい香りだね。」 「ああ、薬草(ハーブ)やベリーのにおいですよ。」 レナに何気なく聞いてみると、入り口すぐ左にある棚を指して答えてくれた。 何やらいろんな木の実や、果物や、葉っぱのようなものが並んでいる。 「なんだい?薬草って・・・?」 棚にあるもののうちの一つを手に取り、レナに聞く。 「何って、旅の必需品じゃないですか!」 手に持った物を見つめながら首をかしげている僕に驚くレナ。 「ふ―ん、知らなかったよ。」 「・・・よくそれで今まで無事でしたね・・・」 あきれた様子のレナ。 地球での携帯食料や回復薬のようなものだろうか? 地球では効率よく摂取できるように錠剤やカプセル、ブロック状の物が大半なので こういったものは見たことが無いし、食べたことも無い。 「そうかな、じゃあためしに一個買ってみようかな。」 とりあえず手にとっていた深い紫色の小さな房のついた物を持って奥のカウンターに行く。 カウンターの奥で新聞を読んでいたマスターがこちらに気付いて新聞をたたんだ。 と、そこでふと気付く。 ・・・そういえば、お金を持っていないな・・・ まさか地球で使っていたお金がここで使えるとも思えない。 あきらめて棚に戻しに行こうと振り返った僕に、マスターが声を掛けてきた。 「兄ちゃん、旅人さん?だったらそれ、一つタダでやるよ。持って行きな。」 「え!?でも、いいんですか?!」 「レナちゃんが連れてきた人だしな。悪い人なわけが無いってね。 遠慮しないで良いさ。」 地球のお店では考えられないようなやり取り。 初めて会ったばかりの相手なのに・・・ 村人たちの優しさや、信頼関係が良くわかる。 僕はマスターに何度もお礼を言って、色とりどりの薬草を眺めているレナの元へ戻った。 「ああ、それはブルーベリーといって、傷を癒してくれるんです。 ・・・ちょっと長居し過ぎましたね。そろそろ出ましょう。」 ―ブルーベリーを手に入れた! まだ北の方角しか案内してもらっていないのならば・・・ もう別の方角も案内してもらっているのならば・・・ レナの家を出て、東の方角へ向かってみることにした。 素敵な家がたっている。 「ここの家のお父さんは大工をやっているの。 今隣町のサルバで大きな仕事があるらしくて、なかなか帰ってこれないそうなの。 だからできる限りこの子達とお話してあげるようにしているんです。」 家の中にいる二人の子供を見ながら、レナが悲しそうに言う。 「へぇ〜、そうなんだ。レナはやさしいんだな。」 「そ・・・そんなことないですよ。」 レナが照れながら否定し、急いで道案内に戻る。 「?あの家は?」 次に僕が目にしたのは、特に大きな二階建ての家だ。 「それは、この村の村長のレジス様のお家です。 村長様はとても物知りなんですよ。 ・・・でも今はいないみたいですね。他の所に行きましょう。」 まだ東の方角しか案内してもらっていないのならば・・・ もう別の方角も案内してもらっているのならば・・・ レナの家を出て、南の方角へ向かってみることにした。 「ここはさっききましたね。神護の森です。 私、この森が大好きなんです。 なんだか懐かしくて、心が落ち着くようで・・・ だから一人のときは大体ここに来るんです。 ・・・お母さんには止められているので内緒ですけどね。」 レナが苦笑しながら言って、深呼吸をする。 僕も真似して思いっきり深呼吸してみた。 さわやかな森の香り、新鮮な空気が胸を軽くする。 とても気持ちがよかった。 「空気がおいしいね。」 「?空気においしいとかまずいってあるんですか?」 レナが不思議そうに尋ねる。 ・・・そうか、ここは未開惑星だからこれが普通なのか。 「うん。僕の住んでいるところはもっと汚いよ。」 「そうなんですか?・・・じゃあ遠慮なく吸ってくださいね。 空気はいくらでもありますから♪」 レナが笑いながら言った。 「おいしい空気もいっぱい吸ったことですし、そろそろ戻りましょう。」 まだ南の方角しか案内してもらっていないのならば・・・ もう別の方角も案内してもらっているのならば・・・ レナの家を出て、西の方角へ向かってみることにした。 小さな川に、橋がかかっている。 橋の正面に、立派な教会が建っていた。 「ここは村の教会です。村の結婚式とかはここで行うんです。 ここの神父さん、とってもやさしいんですよ。 私も昔は光の勇者のお話をよく聞かせてもらってたんです。」 「光の勇者?」 なんだか面白そうなお話だ。 「あ、村の伝説なんです。」 「へえ〜。後で教えてよ。」 「いいですよ。私、このお話大好きなんです。」 レナが楽しそうに言う。本当にお気に入りのようだ。 川を挟んで隣には、一軒家が建っている。 「ここは最近結婚したばかりの新婚さんが住んでるんです。 」 とっても仲がいいんですよ。・・・仲がよすぎてみているこっちが恥ずかしいですけどね。」 「へぇ〜」 近くの窓からのぞいてみた。 新婚の二人がテーブルの前で恥ずかしそうに見つめ合っている。 僕のことにはまったく気づく様子がない。 ・・・本当に見ているこっちが恥ずかしくなるなぁ。 なんだか呆れてきた。 話も聞こうと思えば聞こえそうだったが、二人の世界に入るのは遠慮しておいた。 ・・・と、言うよりなんだかちょっと恐ろしい。 「それじゃあそろそろ戻りましょうか。」 レナが話し掛けてきたので、もう少し見ていたい気もしたが、あきらめて移動した。 まだ西の方角しか案内してもらっていないのならば・・・ もう別の方角も案内してもらっているのならば・・・ 少しひまもつぶれたので戻ってきた。 「ただいま〜」 レナが元気よく家のドアを開ける。 「あ、おかえりなさい〜。 ちょうど準備ができたところなのよ。」 ウェスタさんがドアの前まで迎えにきた。 「準備?さっきも支度って・・・」 レナが聞き返す。 「ささ、クロードさん、あがってください!」 が、おいおい、思いっきり無視されているぞ・・・ まあとにかくお言葉に甘えてあがらせてもらった。 なんだかいい匂いがするけど、何だろう。 そして、ドアを開けてみると・・・ 「・・・」 「お・・・お母さん・・・これ・・・」 レナがあきれたように言う。 ドアを開けると、目の前のテーブルに隙間もないほど古今東西の料理が並んでいた。 す、すごい量だ・・・・ 「さ、クロードさん、遠慮せず召し上がってください♪」 うれしそうに言うウェスタさん。 「お、お母さん・・・これ・・・量、多すぎじゃない?」 レナがすかさず突っ込む。 まあ当然の感想だろう。 「何言ってるの。・・・クロードさん、おなか空いてますよね?」 「あ、はい。まあ・・・」 突然僕に話を振られ、なんとなく答える。 まあおなかが空いているのは事実だったが。 「ほらごらんなさい。男の子はこれぐらい食べるものなのよ。」 得意げに言うウェスタさん。 いや、こんなに食べるとは言ってないんですけど・・・ う〜ん、でもどれもおいしそうだ。 全部は無理かもしれないけど、いただこう。 |
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