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〜サルバの町〜 「・・・はあっはあっ・・・」 全力で走って来たので息が上がっている。 しかし今はそんなことを気にしている暇は無い。 一刻も早く、町長の家へ行かなければ!! 1.ユキに会っている 2.ユキに会っていない 「・・・いらっしゃいませー」 そんな僕の耳に飛び込んできた、聞き覚えのある声。 朝来たときに会った、ユキという女の子の声だ!! 「ユキさん!!」 「あれ〜?クロード君!もうジャムを買いに来てくれたの〜?」 そう言って手を振るユキさんに走りより、腕をつかむ。 「ユキさん!アレンの・・・町長の屋敷はどこ?!」 「えっ?えっ?」 いきなりの事にびっくりして体を縮め、焦るユキさん。 だけど今はそんなことを気にしていられなかった。 「早く!!」 ユキさんに悪いとは思いながらも、どうしても声が大きくなってしまう。 「・・・分かったわ。私についてきて!!」 そんな自分の状況を察してくれたのか、ユキさんは仕事を一度中断させ、 町長の屋敷まで案内役を申し出てくれた。 「ありがとう!」 「いいのよ。まだ助けてもらったお礼も十分できてないしね!」 そう言って、ウィンクしてくれる。 そして走り出したユキさんに続いて、僕は町長の屋敷へと向かった。 朝来たときに町を一通りは回った。 町長の屋敷は・・・あの一番大きな建物だ!! 「急ごう!!」 町まで走って切れていた息も整えないまま、僕は再び走り出した。 〜町長の屋敷〜 「ここが町長の屋敷か・・・」 走りつづけて乱れきった息を整え、見上げる。 レンガ造りで左右対称の、大きな屋敷。 その横には・・・ 「!!」 間違い無い、アーリアへ戻るときにすれ違った、あの馬車が止まっていた。 あの馬車の中に、レナがつかまっていたのだ!! 門の前へ駆け寄り、扉に手をかける。 しかし当然のごとく鍵が掛かっており、扉はびくともしない。 「くそっ、開かない・・・―!!」 ふと、視界に影が落ちる。 振り向くと、そこにはアレンが雇ったのだろう、いかつい門番が立っていた。 襟首をつかまれ、投げ飛ばされる。 「この屋敷には誰も入れるなとの命令だ!とっとと帰りな!!」 門番がはき捨てるように言う。 ・・・しかし、そんな声は僕の耳には届いていなかった。 いや、届いていたのだろうが、認識できなかった。 頭の中にあるのは、ただひとつのこと。 「・・・どけよ」 自分でも驚くほどの、低い声。 「ああ?」 門番が、面倒くさそうに聞き返す。 僕は立ち上がり、腰に手をかける。 そこにあるのは・・・フェイズガン。 フェイズガンを抜き取ると、その銃口を門番へと向けた。 「僕は急いでいるんだ、道を開けろ!!」 それを見た門番が吹き出し、笑う。 「あっハッハッハッ!!おいおい兄ちゃん、そんなオモチャでどうしようってんだ?」 どうやら門番はフェイズガンをただのオモチャだと思っているようだ。 無理も無い、ここは未開惑星。 フェイズガンなど理解すらできないのだろう。 「ハッ!そんなハッタリでどいてちゃぁこちとら仕事になんね・・・―」 「・・・もう一度言う。」 さえぎるように、言う。 「こなごなに吹き飛ばされたくなかったら、五つ数えるうちにそこをどけ!!」 「・・・なんだと?」 「・・・1」 門番が何か言うが、そんなことはお構い無しにカウントダウンをする。 「・・・2」 騒ぎを聞きつけた村人達が、集まる。 「・・・3」 引き金に手を添える。 「・・・4」 門番がうろたえる。 ・・・そして・・・ 「・・・5!!」 ―ドンッ!!!! 銃口からまばゆい光が放たれ、圧縮されたエネルギーが空を裂く!! 「うわぁッ!!」 門番が情けない声を上げ、横へと飛びのく。 その直後 ―ズガァッ!! 門番の後ろにあった分厚い扉は、こなごなに砕け散っていた。 衝撃で吹き飛ばされた扉の破片が、ばらばらと音を立てて落ちていく。 そこにいた、誰もが目を見張った。 かき乱された空気の流れに、村人達の髪が乱れ、木の葉が舞い散る。 そんな門番や村人たちには目もくれず、 僕は壊れてぽっかりと穴のあいた屋敷の入り口へと走っていった。 ・・・そして、クロードが走り去った後の静寂の中、誰かがつぶやいた。 「もしかして・・・今のは・・・光の・・・―」 |
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